【特集Vol.04】「東京を走らせる力」に。東京マラソンへの対策とは。
2023年3月5日(日)に「東京マラソン2023」がいよいよ開催されます。今大会は3大会ぶりの通常規模での開催(※)となり、ランナーの数はおよそ38,000人。さらに沿道には応援する人が集い、東京の街全体がにぎやかに盛り上がります。
東京メトロは東京マラソンのプレミアパートナーとして、大会を足元から支えるという使命のもと、この日に向けて準備を進めています。すべての人に安全でストレスなく楽しんでいただくためには、何が重要なのか、東京マラソンならではの難しさとは何か。大会当日の駅オペレーションを担う2人に話を聞きました。
※ 東京マラソン2020はエリートランナーのみ出走・一般ランナーの出走はなく、沿道応援の自粛が要請されていました。東京マラソン2021は沿道応援の自粛が要請されていました。
万全を期すためには“連携”がカギになる
成田:全長42.195kmのコース上や付近にある東京メトロの駅は、およそ30駅。大会当日はランナーや応援する人を含めて非常に多くの方が利用する中で、すべての駅において万全の体制を期すためには、大会を主催する東京マラソン財団・東京メトロ本社・各駅の三者による“連携”こそが何よりも重要といえます。私たち旅客課ではその連携をより強固なものにし、大会当日に訪れる皆様により楽しく、快適にお過ごしいただけるよう、三者をつなぐ役割を担っています。
大会に向けた動き出しは、東京マラソン財団との打ち合わせから始まります。大会日程、規模、コース、交通規制など基本情報を把握するだけでなく、主催者側で配置するお客様の誘導スタッフについても適切に対応できるかの検証を十分に行ったうえで各駅へ情報を共有します。
とくに、駅でのオペレーションが大会のスムーズな運営に与える影響が大きいことから、主催者側の考えた誘導スタッフの配置をもとに、瀧澤さんをはじめ各駅の担当者の視点から「手薄になっている場所はないか」「閉鎖される出入口はないか」「お客様の誘導は滞りなく行えるか」などさらなる懸念事項を洗い出し、その時の状況に合わせてお客様を適切にご案内できる体制を主催者側に提案しています。
瀧澤:私の管轄となる東京駅でも、過去の大会でランナーや応援する人が通っていた地下通路の一部が現在では使用できなくなっています。大会当日にご不便をおかけしないためにも、準備段階から現場の状況を成田さんに伝え、本社内で共有してもらっています。
非日常を楽しんでいただくため、
普段以上のサポートを
成田:大会当日は大規模な交通規制により地上を往来できない状況が発生するため、お客様から「地上で通りの反対側に渡ることができない。地下通路を使って目的地に行くにはどうすればいいですか?」など、普段と違うご案内が必要になります。スタート地点にある新宿駅付近などであれば3時間ほどで規制は解除されますが、折返し点やフィニッシュとなる東京駅付近、コースの後半部分になると、早朝から夕方まで半日もの交通規制がかかってしまいます。大会を楽しみにお越しになるお客様はもちろん、普段どおり利用されたいお客様にもスムーズなご案内ができるよう、大会の数か月前から準備を進めています。
東京マラソンが他のイベントと違うのは、この影響する時間の長さです。たとえばコンサートなどのイベントであれば、開始時間と終了時間が決まっていて、一時的に人員を増やすことで対応できるケースが多いのですが、東京マラソンはそうはいきません。1日を通して普段とは違う緊張感が続き、いつも以上に多くのお客様をご案内しなければなりませんので、集中力を切らさないことが大事になります。
また、影響する駅の多さも東京メトロならではの特徴です。およそ30駅に及ぶ各駅において一律で同じオペレーションにはできません。交通規制がかかる時間帯や集まる人の数もひと駅ひと駅で異なるため、それぞれの駅の事情にあわせた念入りな準備が必要になります。
そのため、瀧澤さんをはじめ各駅の担当者と直接打ち合わせを行い、地図を見ながらコース上の折返し点やランナーが往復する場所と駅の位置関係を綿密に確認し、混雑の度合いやタイミングを予測しながら対策を練っていきます。
瀧澤:フィニッシュ地点となる東京駅は、とくに混雑が予想されます。レースを終えたランナーや応援する人はもちろん、大手町や有楽町、日比谷など、あらゆる場所から人が集まってきます。こうした場所では、滞留をつくらないこと、つまりお客様が足を止めずに目的地に向かえるよう正確なご案内が肝心です。
私たちは本社と確認した情報も踏まえて、どこから人の流れが始まるのかを想定し、地上に配置する連絡要員を起点に、ご案内する駅社員を人の流れに沿ってどのように配置すればよいか、当日に向けたシミュレーションなども行います。
さらに、当日の天候によって状況が変わる場合があることも、私たちは想定しなければなりません。雨が降り始めれば、地上にいらっしゃる多くのお客様が雨を避けるため地下構内に入ってくることも予想されます。地下構内が混乱しないよう、地上の出入口付近でお客様それぞれの目的地へ向かう地上ルートをご案内します。
大会を足元から支え、すべての人にエールを
成田:駅社員はマラソンコースを把握し、常に適切に、丁寧にご案内できるよう努めています。当日応援する人には、沿道の混乱を防ぐためにも、譲り合いながら応援を存分に楽しんでいただきたいです。
また、東京マラソンを通してお祭り気分を味わってもらい、さまざまな魅力を持つ東京の街や走る楽しさに触れていただけたらうれしいですし、ランナーの皆様には、ぜひご自身のペースで東京の街を駆け抜けてもらいたいですね。
瀧澤:3大会ぶりの通常規模での開催(※)に、ブランクへの心配も少しありますが、同時に東京に活気が戻ることへの期待感を募らせています。安全・安心とお客様へのサービスの提供を第一に考え、大会が成功に終わるよう、地下からエールを送ります。
東京を走らせる力として、ランナー、応援する人、そしてすべての人に「いい東京マラソンだった」と言ってもらえるよう、お帰りいただくところまで私たちがサポートします。
※ 東京マラソン2020はエリートランナーのみ出走・一般ランナーの出走はなく、沿道応援の自粛が要請されていました。東京マラソン2021は沿道応援の自粛が要請されていました。
【教えて!東京マラソンのギモン】
Q. 大会当日の応援に便利なアイテムは?
A. 東京メトロ全9路線が乗り降り自由な「東京メトロ24時間券」(大人600円)や、東京メトロ全9路線と都営地下鉄が24時間乗り降り自由な「東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券」(大人900円)がおすすめです。駅の券売機なら当日でも購入できるので便利です!
※東京メトロ「各種一日乗車券」の詳細はこちらからご確認いただけます。
Q. ランナーをいろんな場所で応援したい!
A. 「追っかけ応援団」があれば、応援したいランナーの完走目標タイムごとに各応援スポットの通過予想時間と各応援スポットを巡るための乗換ルートがわかるので、一人ひとりにぴったりな応援のモデルルートがチェックできます。
※「追っかけ応援団」の公開は終了しました。
※記事の内容は2023年2月の取材時点のものです。