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【特集Vol.12】お客様の気づきや声が、東京メトロをもっと進化させる。

東京メトロでは、お客様とのさまざまな接点を通じて得られた「お客様の声」をサービス推進に活かしています。日々寄せられる多くの声を集めて、全社的な業務改善に活かしているのがCX・マーケティング部のCS担当(※)です。全社におけるサービス推進だけでなく、データの分析から報告・共有、社員のCS意識向上施策の実施など幅広い業務を担っています。
今回はそんなCS担当の活動目的や、具体的な業務内容、CS意識向上のためにはどういった考え方が大切になるのか。担当者の西澤さんに詳しく語ってもらいました。

※CXはCustomer Experience(顧客体験価値)、CSはCustomer Satisfaction(顧客満足度)の略称。


すべては「東京メトロにまた乗りたい」
という声のために


鉄道本部 CX・マーケティング部/西澤 沙奈

CX・マーケティング部CS担当の主な仕事は、一般的にはCS活動と呼ばれる、顧客満足度向上のための取組みです。主な業務は、「お客様の声の集約とニーズの分析」、「分析結果の各部署への共有・報告」、「社員のCS意識向上施策」の3つに分かれています。私たちはこれらを通じて、「お客様視点に立った質の高い『サービス』の提供」を目指しています。

サービスに触れていただいた結果、「東京メトロにまた乗りたい」とお客様に感じていただき、選ばれる鉄道会社になることが私たちの目標です。そのためには取組みやサービスについて、関わりの深い他社との意見交換などを通じ、優れたところを取り入れていくことが大切です。試行錯誤を重ね、より東京メトロらしい形に進化させることで、目標を達成することができると考えています。

たくさんの声を集め、真のニーズに応えたい


すべてのCS活動は、お客様の声を集め、耳を傾けるところからはじまります。お客様の声が一番多く寄せられるのは、「お客様センター」です。電話やメールなどのチャネルから声が集まる、私たちが大切にしている接点の一つですね。ときに厳しいご意見をいただくこともありますが、真摯に受け止めCS活動に活かしています。一方で、駅や車内で体調を崩された方への対応に、お礼のお声をいただくことも。お客様の気持ちを直接的に感じられるのが、お客様センターの特長です。
また、私たちからお客様の声を集める活動もあり、その中でも代表的なのが「お客様モニター」です。毎年500名の方にご協力いただき、アンケートやグループインタビューを行い、詳細なニーズを分析します。他にもX(旧Twitter)など、SNS上の意見も参考にしています。アンケート調査などとは異なり、何気ないつぶやきだからこその発見も多いです。

このように東京メトロでは、さまざまな角度からたくさんのお客様の声を集め、真のニーズに応えるために役立てています。また、会社とお客様の間にクッションがないため、お客様のリアルな声を迅速に捉えることができるのは、東京メトロの強みですね。
ただ、お客様の真のニーズに応えるには、声をそのまま反映するだけでなく、ときには一歩踏み込む必要もあります。たとえば、定期的にご意見をいただく列車混雑について、これまでは駅のポスターなどで混雑時間帯をお伝えし、その時間帯を避けたご利用を呼びかけていました。しかし、「もっと快適にご利用いただくために何かできないだろうか」と考え、関係部署とディスカッションを重ねていきました。その後、東京メトロmy!アプリで車両ごとの混雑状況の配信が開始され、お客様ご自身が乗車予定区間の混雑傾向を乗車前に確認し、混雑を避けた快適なご利用ができるようになったのです。混雑が原因の遅延解消にもつながる施策だと思っています。

▲ 東京メトロmy!アプリの混雑情報

● 東京メトロmy!アプリの記事はこちら

CS意識を、もっと高められるように


いただいた声を集約した後は、分析を行った上で全社に報告・共有します。タイミングとしては、週次・月次・四半期次・年次ですね。週次・月次ではお客様センターに集約された声を中心に、ご意見やお誉めの言葉をタイムリーに共有しています。そうすることで、社員一人ひとりの「次は気をつけよう」、「次も頑張ろう」という気持ちにつながるのではと考えています。
現場で鉄道運行を担当している社員との定期的な意見交換会の際、実際に「週次や月次の報告書を見ています」といった声をもらうことも多いんです。自分の業務が社員に届いていることを体感できるのは、とても嬉しいですね。

四半期次・年次では、お客様センターに寄せられた声やSNS上でのお客様の反応に加え、お客様モニターへのインタビュー結果やアンケート調査などを分析し、報告します。この分析結果をもとに各部署とディスカッションし、サービス推進に向けた各部署の計画に落とし込み、実行につなげていくのです。特に、東京メトロが達成を目指している目標に届いていなかった場合、ディスカッションで重い空気が流れてしまうことも。ただ、私たちが事実を提示するだけでは、その部署も次にどう動くべきか悩んでしまいます。次のアクションのヒントになるような分析結果を渡し、背中を押せるよう、日々奮闘しています。

分析の結果から実現した計画の一つに、車内放送技術の向上があります。「運行支障時のご案内がわかりづらい」というお客様からの評価を受け、音声文字変換機能アプリを活用するようになりました。全乗務員が自身の車内放送音声を文字化してチェックすることで、よりはっきりと伝わりやすい車内放送を目指しています。お客様の声を常に意識し、プラスアルファの価値を提供できるよう、各部署と連携して進めているんですよ。

誰かの視点で、自分の仕事を見る大切さ


お客様の声は直接的なサービス推進だけでなく、社員がお客様視点を意識することにも活かされています。東京メトロでは、技術職やバックオフィス部署のように、お客様と直接的な接点を持っていない社員もいます。そんな中、全社員が一つになってサービス推進を目指していくためには、直接お客様と接する・接しないに関わらず、お客様視点を持つことが大切だと考えています。

たとえば、東京メトロでは「おほめとろ」というコンテンツを、社内限定のWebサイトに掲載しています。実際に寄せられたお客様からのお誉めだけでなく、お誉めをいただいた理由や各職場が行っている次のお誉めにつながるような取組みを共有することで、お客様視点で物事を考える機会を提供することが目的です。
他にも社内の取組みでは「サービス向上発表会」という各部署のCS活動を発表・表彰する場を設けたり、日々の活動に関する悩みをフランクに意見交換する「CS座談会」を開催しています。特に「CS座談会」ではざっくばらんな会話のおかげか、他部署の視点や取組みを知ることで、多くの発見があったという声もよく耳にします。お客様視点に立つことと同じくらい、他部署の視点に気付くということも、サービス推進のためには大切だと感じるイベントです。
あとはイベント内で、社員がお客様や他部署の視点で自身の取組みを見直したときに、「あの取組みもお客様につながっているな」、「自分の取組みもそういえば……」と意見をどんどん展開させているのを聞くと、こういった場を設けてよかったと非常に感慨深い気持ちになりますね。

▲ サービス向上発表会
▲ CS座談会

お客様と手を取り、サービスや意識の向上を


改めて、今後東京メトロ全体でCS活動への意識を高めていくには、お客様や他部署の視点に立つ意識が大切です。そうなることで、「すべての仕事はお客様につながっている」という考え方が根付いてくると思います。私自身もこの仕事に携わる前から意識しようとしていたことではあったのですが、CX・マーケティング部に配属されてより強く実感できるようになりました。たくさんのお客さまの声から東京メトロへの期待を感じたり、各部署に足を運んで意見交換を行う中で、自分にはない別の視点で考える姿勢が身についたのです。そういう経験があるからこそ、バックオフィス部署やグループ企業も参加できる、もっと幅広いコミュニケーション施策を考えていきたいですね。

もちろん、社内だけではなく、お客様の声を反映する取組みも引き続き行っていきます。コロナ禍を経て、ネットショッピングやテレワークなどお家で過ごす時間が増えた一方で、移動の機会が減ってしまった方も多いのではないでしょうか。時代や社会が変わっていく中でも、東京メトロはいかに地下鉄に快適に乗っていただくかを考えています。もっと質の高いサービスをお届けするためには、私たちだけではなく、お客様の気付きや声が必要不可欠です。より良い東京メトロへアップデートし続けていけるよう、これからもお客様の声をしっかりと受け止め、「メトロにまた乗りたい」と思っていただけるようなサービスを展開していきます。


【教えて!お客様サービスのギモン】

Q. お客様センターには1日にどれくらいの問い合わせがくるの?

A. 2022年度は、1日700件ほど寄せられました。その8割がお忘れ物に関するお問い合わせで、ご意見・ご要望に関しては1割未満ですが、運行支障などがあった後には増加する傾向にあります。

Q. 「サービス向上発表会」で取り上げられた施策には、どんなものがあるの?

A. 例として、地下鉄メインテナンス(電気設備の保守点検を行う東京メトログループの1社)が実施した、モバイルPASMO(※1)・モバイルSuica(※2)などをICチャージ専用機でスムーズにご利用いただくための施策があります。
具体的には、モバイルPASMO・モバイルSuicaなどにチャージができない事象を解決するために、調整用の“壁”を設置しました。より快適にご利用いただける有効性の高い施策となりました。

※1 「PASMO」は、株式会社パスモの登録商標です。
※2 「Suica」は、東日本旅客鉄道株式会社の登録商標です。


※記事の内容は2023年10月の取材時点のものです。

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